夜学舎

太田明日香の本を出すレーベルです

自分は何を作りたいのか

わたしは仕事柄よく人に「どうやって本を作るんですか」と聞かれることが多い。
それまでは一人ひとりその都度、聞かれたことを答えるみたいな感じだったけど、
せっかくの機会なので、「ZINEのとも」というシリーズとして、ZINEづくりのヒントを公開したいと思います。

どうか万国の「ZINEのとも」の皆様の参考になりますように!


1、自分は何を作りたいのか

最初『愛と家事』を作ろうと思ったときにまっさきに浮かんだのは、植本一子さんの『かなわない』だった。

  



『かなわない』は写真家の植本さんが結婚していながらできた恋人との別れを中心に、お母さんや家族との関係を綴ったエッセイだ。書籍版の方がよく知られているけど、わたしが参考にしたのはそちらでなく、書籍化の前に植本さんが自分で作って販売していた同名のZINEの方だ。

わたしはそれまで自分の離婚の話を書きたいと思ったけど、人の離婚の話なんて興味ないだろうから、こんなの作って意味あるんだろうかみたいな気持ちの方が強かった。
でも、ZINE 版の『かなわない』を読んだ時に、読み終わった後に恋愛を追体験したような重みがあって、すごく衝撃的だったのを思い出した。
内容は、辛い恋愛の話やうまくいかない子育ての話や母親との関係といった個人の体験なんだけど、それを読んでしんどいのは自分だけじゃないんだという気持ちにもなったことも。
だから、もしかしたら離婚の話だって同じように読んでもらえるかもしれないという期待もあった。

それから、『かなわない』は構成もよかった。
要所要所のスケッチみたいな感じで、人生の断片を描くみたいな感じでエピソードがあって、その途中で絵が入っていたり、詩が入っていて、緩急ついているところとか。
見た目は字が詰まっているけど一文一文はそれほど長くないおかげでぐいぐい読めるところとか。

こういう感じで作ればいいんじゃないかと、指針にすることにした。

交換しよう、そうしよう

ZINEの交換をしたいと思っています。


淡路島に住む料理家のどいちなつさんから、「若い人たちへちいさな冊子をつくりました」というたよりをもらいました。そこにはいっていたのは「暮らしのしるべ」というちいさな冊子。

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簡単な料理の仕方、調味料の選び方、それから、これから生活するのに役立ちそうなヒントや本が載っています。
裏側には、加藤賢一さんの「本とゆく道」「街への扉」といったコラムも。


これはどいさんが一人暮らしをはじめた息子さんのために作ったものだそうです。若い人を応援したいという暖かみを感じる冊子です。
わたしはこの冊子のお返しに『愛と家事』を送りました。
単なる本の交換だけじゃなくて、作った思いも一緒に交換したようで、とても印象に残った出来事でした。

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もともとZINEや自費出版って、交換で広まって読まれてきたところがあります。
本の世界は自分の作ったものをお世話になった人や同業者にあげる文化がありますが、それも元々は何かの主張をするために本という形にして、同好の士同士で交換していた頃の名残なんだろうなと思います。


それは本を広める手段であるとともに、互いの感想を知るための手段でもあったんだろうなと想像します。
今はSNSのおかげで誰が買ったか、どんな感想をもったかわかるようになったけど、その前の時代は実際に読者に会わない限り、そんなことわからなかったわけで。
だから、仲間作りも兼ねてときどき実際に会って本だけでなく情報も交換していたんだろうと思います。

それに、大きな流通に乗らないZINEという媒体には、交換のような、直接的な関係の中で伝えていくスタイルがぴったり。
自分だけではわからないいろんなZINEにで会えそうな予感もあります。

なんだか、おもしろそう!
この出来事をきっかけに、わたしもZINEの交換をしたいと思い立ちました。

もしご自分でZINEや本を制作しており、『愛と家事』を読みたい方がいらっしゃいましたら、ぜひメールフォームからお知らせください。


あなたの自作のZINEと交換しましょう。


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どいさんと加藤さんは淡路島で心に風というハーブショップをやっています。素敵な写真です。

 

販売先情報(8/20更新)

こちらに加えて、販売先情報を随時更新しています。
yagakusha.hatenablog.com

17/6/5  神戸の古本屋ワールドエンズ・ガーデン、1003を追加しました。
     名古屋の雨の本屋、ON READINGを追加しました。

17/8/20 和歌山の本屋プラグを追加しました。


○関西 

古本屋ワールドエンズ・ガーデン(神戸)

 王子公園近くの高架下にある古本屋。古書、レコードのほか、神戸の出版社苦楽堂や神戸の書き手の新刊も。出版社と読者をつなぐようなトークショーなどのイベントにも力を入れている。
https://www.facebook.com/worldendsgarden/


1003(神戸)
 元町のレトロビルにある本屋&古本屋さん。文学、食、酒、民俗、暮らしの古本とリトルプレスや新刊も。ナイスな選曲の中、ビールも飲める。
https://1003books.tumblr.com/

本屋プラグ(和歌山)
 喫茶、イベント、シェアオフィスもそろった、本以外のいろんな出会いや世界が広がりそうな本屋さん。セレクトは、料理・エッセイ・リトルプレスなど広く取り扱っている。
http://plug-kitchen.com/


○東海地方

雨の本屋(名古屋・移動店舗)
 名古屋を中心にイベントなどに出店する移動本屋さん。エッセイや小説、雑誌、写真集、絵本などの古本のほか、ミシマ社や夏葉社などのひとり出版社の新刊も取扱う。
https://www.facebook.com/amenohonya/


ON READING(名古屋・東山公園
 写真集、アートブック、ZINEを中心にしたセレクトブックショップ&ギャラリー。ギャラリースペースでは注目の若手アーティストの展覧会やライブも開催している。

onreading.jp

引き続き取り扱い店募集しております。
四国、九州、沖縄、北陸、東北、北海道はまだ販売先のないので、募集中です!

集え、全国の金魚好きよ!(ひとたらい市@大和郡山市 5/21)

5月21日(日)、大和郡山市で開かれるひとたらい市に出店します。

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たらいの中にいろいろ入れて販売するというフリマイベントです。
金魚販売、飲食ブースもあるそうです。

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夜学舎では
カナダのお土産やZINE、紙雑貨などいろいろ販売します。


よかったら遊びにきてねー。

集え、全国のマンガ好きよ!(COMITIA120出展@有明・東京ビッグサイト 5/6)

プロ・アマ問わないマンガ作家たちがオリジナル作品を発表・販売するコミティアが東京で開催されます。

イラストレータ坂本伊久子さんのブースで一緒に販売してもらうことになりました。
ブースはす55bです。

 

坂本さんのZINEやグッズもたくさん販売されるそうなので、是非!

集え! 名古屋のくらし系たちよ(暮らし広場:アル・トゥ・エン@太田川 4/22-4/23)

名古屋の移動本屋さん「雨の本屋」さんが出店するイベント
暮らし広場:アル・トゥ・エンで『愛と家事』の販売があります。

○イベント詳細
 暮らし広場 アル・トゥ・エン

 日時:4/22(土)-23(日) 10:00-17:00
 場所:名鉄太田川駅前

このイベントで販売にいたるまでの経緯がおもしろかったので、
ちょっと紹介させてもらいます。
雨の本屋さんとの出会いは偶然。
名古屋のテレビ塔のイベントで出店していた大阪のcaloさんに勧められ、『愛と家事』を買ってくださり、長い感想文とともに取扱い希望のメールをいただきました。

こんなふうに混乱を起こさせる本との出会いが、読書の醍醐味だと信じています。

そのことを人に伝えたくて、ちいさな本屋をやっているのかもしれません。


いただいたメールの感想が印象的だったこと、
名古屋での取扱いが初めてだったこともあり、早速取引をお願いしました。

雨の本屋さんが移動本屋さんというスタイルで本屋を始めたのは4年前。
子育て中で、急なお休みや子どもさんの学校行事のことを考えると移動本屋というスタイルの方が合っているとおっしゃっていました。

今はイベント出店やブックカフェイベントなどで本のセレクトをやったり、こういったマルシェイベントに出店しながら、映画や本にかかわる企画を行っているそうです。

扱っているのは、エッセイや小説、雑誌、写真集、絵本などの古本と、新刊。
新刊はミシマ社、夏葉社、ナナロク社、mmbooks、つるとはな社など、
「個性的で未来へも読み継いでいきたい本を出されている出版社さん」
を中心にセレクトしているということでした。

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『愛と家事』は個人的なことを書いており、読む人によってはあまり受け入れたくない部分もあるだろうなーという印象があって、
他の本みたいに、知り合いのお店に自分から積極的に営業をかける売り方はしていません。
読みたい人、興味ある人に自然に広がっていけばいいという思いで、
ひっそりと売っています。
それが、今回のように思いもよらないところからつながりができたり、
自分の思ってもみなかった場所で広がるというご縁ができて、本当にありがたいです。

自分の想定していた以上の場所に縁を広げる本の力をしみじみと感じます。

 

集え、京都の雑貨好きたちよ!(読んで作って遊ぶ!本と紙@雑貨店おやつ 4/21-5/17)

京都の桂にある雑貨店おやつで開かれている

「読んで作って遊ぶ!本と紙」というイベントで
『愛と家事』も仕入れてもらっています。
関連イベントもたくさんあって楽しそうです。
くわしくはこちら

店主トノイケミキさんの新刊『雑貨店おやつへようこそ』も販売中だそうですよ。
雑貨好き、絵本好き、自分も出版したいという方は是非!

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webshopはこちら→https://yagakusha.thebase.in/