夜学舎

太田明日香の本を出すレーベルです

こった文章を書くべきか

わたしは仕事柄よく人に「どうやって本を作るんですか」と聞かれることが多い。
それまでは一人ひとりその都度、聞かれたことを答えるみたいな感じだったけど、
せっかくの機会なので、「ZINEのとも」というシリーズとして、ZINEづくりのヒントを公開したいと思います。

どうか万国の「ZINEのとも」の皆様の参考になりますように!


3、こった文章を書くべきか
作りたいものがわかれば、そこに向かって手を動かせばいいと書いたけど、それが案外難しい。多くの人の悩みはここにあるのかもしれない。
文章をどう書くかについては、いろんな意見があるので、詳しくはそういう本を読んだ方がいいけど、簡単なポイントはいくつかある。
料理と一緒でいきなり作り出すんじゃなくて、下ごしらえが大事だ。
そのためには、まずは伝えたいことを明確にし、資料を集めたり、取材をしてインタビューや写真などを撮ってきて、それを伝えるための材料をそろえる

材料が揃えば文章を書く。
このときに、くれぐれも気をつけておきたいのは、どんな文章で書くかだ。
いい文章というのはどんな文章だろうか。文体にこった美文だろうか、それとも慣用句やしゃれた言い回しを使ったこなれた文章だろうか。理由は後述するが、わたしはあまりこった文章を書かなくていいと思う。

///

文章を書くコツは3つある。一文を短くする、自分の書き慣れた文体で書く、慣用句やことわざを多様しない

一文を短くするのは、日本語は主語と述語が明確じゃないので、延々と長い文章が続くと結局何が言いたいのかよくわからなくなりがちだ。あとは回りくどくなる言い回しは使わない方がいいと思う。例えば、「〜というのは」は「〜は」に置き換えられるし、「〜ということについてだが」は「〜については」に置き換えられる。そういうふうに不要な語はなるべく削った方がいい。

自分の書き慣れた文体で書くのは、無理に背伸びして書こうとすると、結局言いたいことが書けなかったりするからだ。文章というのは運動やファッションといっしょで、やりなれたりスタイルが確立していないととてもダサくなるし、読みにくい。そして肝心の何が言いたいかが伝わらない。
それに、無理して書いて「てにをは」を間違えていたりすると、それだけで全体が台無しになる。だったら普段から書き慣れている文体で、それを丁寧に推敲してグレードアップさせる方がいい。

慣用句やことわざを多様しないのは、新聞の社説とか読んでてもわかると思うけど、ああいう文章は読みやすいけど、なんか上滑りであんまり自分に響かないことがあると思う。それは、慣用句とかを使っていて、こなれてるけど切実な感じが届かなくなってるからだと思う。

///

文章には厚みが大事だと思う。
厚みっていうのは、どれだけ資料を詳細に調べたかとか、深く取材したかとか、どれだけ切実に伝えたいかと思っているかのことだ。そのためには、それの細部を伝えることが必要だ。
何度も言うけど、料理と一緒で材料がよくないと仕上がりがまずくなるのだ。だから、調理技術を磨いて飾り立てた料理があんまりおいしくないときがあるのと同じように、文章がうまいけどもなんか面白くないということになる。
文章は手段にすぎない。まずは読みやすく人に伝えることが一番で、レトリックとかおもしろく書くというのはその次だ。
あんまり文章を書き慣れてないなら、誰にでも伝わって読みやすい文章を書くことを心がけるのが一番だ。

自分の読みたいものが現れる瞬間

わたしは仕事柄よく人に「どうやって本を作るんですか」と聞かれることが多い。
それまでは一人ひとりその都度、聞かれたことを答えるみたいな感じだったけど、
せっかくの機会なので、「ZINEのとも」というシリーズとして、ZINEづくりのヒントを公開したいと思います。

どうか万国の「ZINEのとも」の皆様の参考になりますように!

2、自分の読みたいものが現れる瞬間

コンセプトとか言うと難しいけど、要はこういうふうに仕上げたいっていうイメージを強く持っていると、あとの作業は進みやすい。
物を作るときは、これが結構大事だと思う。
なぜなら、読みたいものはそこになくて、それを作るのは自分だから。
だから、自分は「こういうものを作ろうとしている」っていうイメージを強くもって、そこに向けて作っていくのがいいと思う。

///

わたしは植本一子さんの『かなわない』を参考にしたけど、何かを参考にするときはそのまま真似するんじゃなくて、その形のどこが自分の伝えたい感じにぴったりなのかを考えてみるのが大事だ。
植本さんの本は最後の「かなわない」という文章が全体を引き締めていた。
やっぱり、自分の本にもそういう、核になる文章だったり言葉だったりが必要だなと思った。

     



以前の結婚生活のもやもやを表す言葉として、「愛と家事」が思い浮かんだときに、いけるかもと思えた。実際にそのタイトルでブログを書いた時は反応が多かった。
「愛と家事」を核にすると決めたことで、今まで書いた文章を選ぶ基準ができたし、足りないところも見えて来た。

///

参考にするものはもちろん、実際に形になっているものや言葉じゃなくてもいいけど。
とにかく大事なのは、なるべく具体的にイメージすること。
どういう人に読んでほしいとか、どんな店で売りたいとか、そこに並んでいるとしたらどんな形がぴったりかとか、それにふさわしいのはどんな紙とか。
逆に中身から考えていってもいい。タイトルの感じとか、文体とか、絵を付けるならこんな感じとか。

その具体的なイメージをもとに、どうやったら自分の作りたいものを形にできるか考えていく。考えていると、あるとき、ぴたっとはまったと思う瞬間が出て来る。
多分、自分の読みたいものがここに現れたって瞬間だと思う。
それは、一つのストーリーや場面が思い浮かぶ瞬間かもしれないし、タイトルが現れる瞬間かもしれない。
もしかしたら、映像や文章かもしれない。
そしたらあとはそれを実現させるために手を動かせばいいだけだ

 
そこまでできたところでようやく制作に入る。

 

自分は何を作りたいのか

わたしは仕事柄よく人に「どうやって本を作るんですか」と聞かれることが多い。
それまでは一人ひとりその都度、聞かれたことを答えるみたいな感じだったけど、
せっかくの機会なので、「ZINEのとも」というシリーズとして、ZINEづくりのヒントを公開したいと思います。

どうか万国の「ZINEのとも」の皆様の参考になりますように!


1、自分は何を作りたいのか

最初『愛と家事』を作ろうと思ったときにまっさきに浮かんだのは、植本一子さんの『かなわない』だった。

  



『かなわない』は写真家の植本さんが結婚していながらできた恋人との別れを中心に、お母さんや家族との関係を綴ったエッセイだ。書籍版の方がよく知られているけど、わたしが参考にしたのはそちらでなく、書籍化の前に植本さんが自分で作って販売していた同名のZINEの方だ。

わたしはそれまで自分の離婚の話を書きたいと思ったけど、人の離婚の話なんて興味ないだろうから、こんなの作って意味あるんだろうかみたいな気持ちの方が強かった。
でも、ZINE 版の『かなわない』を読んだ時に、読み終わった後に恋愛を追体験したような重みがあって、すごく衝撃的だったのを思い出した。
内容は、辛い恋愛の話やうまくいかない子育ての話や母親との関係といった個人の体験なんだけど、それを読んでしんどいのは自分だけじゃないんだという気持ちにもなったことも。
だから、もしかしたら離婚の話だって同じように読んでもらえるかもしれないという期待もあった。

それから、『かなわない』は構成もよかった。
要所要所のスケッチみたいな感じで、人生の断片を描くみたいな感じでエピソードがあって、その途中で絵が入っていたり、詩が入っていて、緩急ついているところとか。
見た目は字が詰まっているけど一文一文はそれほど長くないおかげでぐいぐい読めるところとか。

こういう感じで作ればいいんじゃないかと、指針にすることにした。

交換しよう、そうしよう

ZINEの交換をしたいと思っています。


淡路島に住む料理家のどいちなつさんから、「若い人たちへちいさな冊子をつくりました」というたよりをもらいました。そこにはいっていたのは「暮らしのしるべ」というちいさな冊子。

f:id:kokeshiwabuki:20170825205757j:plain


簡単な料理の仕方、調味料の選び方、それから、これから生活するのに役立ちそうなヒントや本が載っています。
裏側には、加藤賢一さんの「本とゆく道」「街への扉」といったコラムも。


これはどいさんが一人暮らしをはじめた息子さんのために作ったものだそうです。若い人を応援したいという暖かみを感じる冊子です。
わたしはこの冊子のお返しに『愛と家事』を送りました。
単なる本の交換だけじゃなくて、作った思いも一緒に交換したようで、とても印象に残った出来事でした。

///

もともとZINEや自費出版って、交換で広まって読まれてきたところがあります。
本の世界は自分の作ったものをお世話になった人や同業者にあげる文化がありますが、それも元々は何かの主張をするために本という形にして、同好の士同士で交換していた頃の名残なんだろうなと思います。


それは本を広める手段であるとともに、互いの感想を知るための手段でもあったんだろうなと想像します。
今はSNSのおかげで誰が買ったか、どんな感想をもったかわかるようになったけど、その前の時代は実際に読者に会わない限り、そんなことわからなかったわけで。
だから、仲間作りも兼ねてときどき実際に会って本だけでなく情報も交換していたんだろうと思います。

それに、大きな流通に乗らないZINEという媒体には、交換のような、直接的な関係の中で伝えていくスタイルがぴったり。
自分だけではわからないいろんなZINEにで会えそうな予感もあります。

なんだか、おもしろそう!
この出来事をきっかけに、わたしもZINEの交換をしたいと思い立ちました。

もしご自分でZINEや本を制作しており、『愛と家事』を読みたい方がいらっしゃいましたら、ぜひメールフォームからお知らせください。


あなたの自作のZINEと交換しましょう。


///

どいさんと加藤さんは淡路島で心に風というハーブショップをやっています。素敵な写真です。

 

販売先情報(8/20更新)

こちらに加えて、販売先情報を随時更新しています。
yagakusha.hatenablog.com

17/6/5  神戸の古本屋ワールドエンズ・ガーデン、1003を追加しました。
     名古屋の雨の本屋、ON READINGを追加しました。

17/8/20 和歌山の本屋プラグを追加しました。


○関西 

古本屋ワールドエンズ・ガーデン(神戸)

 王子公園近くの高架下にある古本屋。古書、レコードのほか、神戸の出版社苦楽堂や神戸の書き手の新刊も。出版社と読者をつなぐようなトークショーなどのイベントにも力を入れている。
https://www.facebook.com/worldendsgarden/


1003(神戸)
 元町のレトロビルにある本屋&古本屋さん。文学、食、酒、民俗、暮らしの古本とリトルプレスや新刊も。ナイスな選曲の中、ビールも飲める。
https://1003books.tumblr.com/

本屋プラグ(和歌山)
 喫茶、イベント、シェアオフィスもそろった、本以外のいろんな出会いや世界が広がりそうな本屋さん。セレクトは、料理・エッセイ・リトルプレスなど広く取り扱っている。
http://plug-kitchen.com/


○東海地方

雨の本屋(名古屋・移動店舗)
 名古屋を中心にイベントなどに出店する移動本屋さん。エッセイや小説、雑誌、写真集、絵本などの古本のほか、ミシマ社や夏葉社などのひとり出版社の新刊も取扱う。
https://www.facebook.com/amenohonya/


ON READING(名古屋・東山公園
 写真集、アートブック、ZINEを中心にしたセレクトブックショップ&ギャラリー。ギャラリースペースでは注目の若手アーティストの展覧会やライブも開催している。

onreading.jp

引き続き取り扱い店募集しております。
四国、九州、沖縄、北陸、東北、北海道はまだ販売先のないので、募集中です!

集え、全国の金魚好きよ!(ひとたらい市@大和郡山市 5/21)

5月21日(日)、大和郡山市で開かれるひとたらい市に出店します。

f:id:kokeshiwabuki:20170519221241j:plain

たらいの中にいろいろ入れて販売するというフリマイベントです。
金魚販売、飲食ブースもあるそうです。

f:id:kokeshiwabuki:20170519213834j:plain

 

f:id:kokeshiwabuki:20170519213438j:plain

f:id:kokeshiwabuki:20170519213754j:plain


夜学舎では
カナダのお土産やZINE、紙雑貨などいろいろ販売します。


よかったら遊びにきてねー。

集え、全国のマンガ好きよ!(COMITIA120出展@有明・東京ビッグサイト 5/6)

プロ・アマ問わないマンガ作家たちがオリジナル作品を発表・販売するコミティアが東京で開催されます。

イラストレータ坂本伊久子さんのブースで一緒に販売してもらうことになりました。
ブースはす55bです。

 

坂本さんのZINEやグッズもたくさん販売されるそうなので、是非!

webshopはこちら→https://yagakusha.thebase.in/