夜学舎

太田明日香の本を出すレーベルです

密鬱日記(試し読み)

『密鬱日記』は2020年5月28日から9月30日までnoteに書いていた日記です。
自分の人生に転機をもたらしたコロナ禍と心境の変化を、なるべく当時の率直な気持ちのままにを残したいと思い、出版することにしました。
アベノマスク、10万円給付、持続化給付金、ツイッターデモなど、当時の世相が反映されています。


2020
/06/01

 

 今日は疎の日(仕事がない)だけど明日は密の日(仕事がある)なので、朝から憂鬱。布団からどうしても出たくない。ここ2週間〜10日くらい寝つきが悪く、ずっと胸の圧迫感と心臓がドキドキする感じがある。多分密のストレスと仕事のストレスのせいなんだと思う。このままでは病気になってしまいそうでよくないなと思った。そういえば市の無料の電話心理相談があったはず、と思って検索してみた。私の住んでる市は、女性センターがやってるのと、自死防止のためのものと、いのちの電話があった。

 女性センターはどちらかというとDVや子どもの発達などの家族関係のものが多くて、ちょっと私は対象外という感じ。自死防止のものは、自死遺族や当事者のメンタルのケアのためのもののようだ。いのちの電話が一番24時間受付だったので朝一でかけてみたら、全然つながらなかった。困っている人がたくさんいるのだろう。昼頃かけたら繋がった。

 カウンセリングとか悩み相談の電話というのは、当たり外れが大きいイメージがあったけど、出た人はほとんど自分の意見を言わずに、ずっと相槌うって聞いてくれる感じの人で話しやすかった。だんだん喋ってて、何が嫌なのか整理されてきた。

 嫌なことを箇条書きすると

 

・緊急事態宣言が解除されて、電車が混んできた

・今も一応県外移動は自粛となっているはずなのに、通勤しないといけない→これは調べたら誤解で、もう県外移動はオッケーになっていた(6/2追記)

・自粛しないといけないのに混んだ電車で通勤することに不満があるけど、それを職場の人には言いにくい→自粛期間はもう終わっていた(6/2追記)

・コロナでうちに引きこもっていた間に不安と恐怖が増幅されて、他人と人が密集している場所が怖くなっている

・そのせいで他人に対する許容量がすごく減っている、またそういう他人を受け容れられない自分に対してもダメな人間のように思う

・特定の店でしか買い物、外食できなくて、家事がしんどい

・息抜きするために遠くへ行けない、インターネットで息抜きしようとすると暗いニュースと怒っている人ばかりで疲れて息抜きの場がない

・人と会えないし会うにしても、些細なことが気になって余計ストレスがたまる

・ネットで息抜きしようとすると、政権批判や、クラウドファンディングのニュースが多すぎて自分も何かしないといけない気持ちになって全然息抜きにならず、それで逆に疲れる。また、一緒に怒ったり、寄付できない自分がダメな人間のように思う

・オンラインイベントも多すぎて、何もできない自分がダメな人間のように思う

 

 などなど。ずっとすごく愚痴りたかったんだけど、自分は家族いるしとか、仕事あるしとか、子どもいないしとか、医療従事者の人の方が大変だしとか色々思って、愚痴る資格がないんだと思っていた。でも、相談員の人に、ガワだけ比較しても意味がなくて、その人にはその人なりのしんどさがあって、それは人と比べられるものじゃないから、それは我慢したり比べなくていいんですよと言われたら、愚痴っていいんだと思えた。

 仕事がぎゅうぎゅうでしんどくて、勤めている日本語学校が休みになった不安で編集の仕事入れすぎたのは自業自得だから、仕事で首が回らなくなっているのも、自分のせいだから文句言ったらいけないと思っていたけど、不安だからそういうのもしょうがないですよって言ってもらえた。

 クラファンとか、ニュースに反対するのも、あなたは今傷ついて大変な状態なんだから、その上で人の支援なんてできないから、まずは休んだ方がいいですって。そういうのはできる人に任しといたらいいって言われた。そしたら、私はコロナ流行り出してから辛い時とか全然泣けなかったんだけど、すごい涙が出てびっくりした。いっぱい泣いたら少しスッキリした。

 アメリカで黒人の人やヒスパニックの人が死亡率が高いっていうニュース見て、現場労働者にそういう人たちが多いから、人種差別の構造が現れてるって話とか、うちにいてステイホームできるっていうのは、特権的な身分だからみたいな話をすごい見て、しんどくなってた。怖がっているのは恵まれてるからなのもとか、頭ではわかるけど、怒られてるみたいですごい嫌だった。

 私はそこまで自粛警察にはならなかったけど、今の自分の密警察みたいな状態が行き過ぎたら自粛警察になるのかなと思った。よく知識があったら差別しないって言う。自分もその言葉を信じてきた。もちろん差別的なことはしたらダメなんだけど、ただ今まで頭で信じてて行動してきたことが全部ひっくり返ったみたいで、そういう自分にがっかりした。

 自分の頭と行動の落差が何に由来するのかよく考えたら、私も当事者なんだった。仕事断ったらなくなるかもと思うから怖いのに出勤してるし、今のうちにいっぱい稼いどかないとこの先仕事なくなったらどうしようみたいな不安があるから、無理して編集の仕事入れちゃう。自分はステイホームできる恵まれてる立場に見えるけど、そうでもなかった。だから自分の辛さに目が行かなかったんだと思う。自分が辛くないと思っているから、他に目を向けろって言われたら説教されてるみたいに感じたり、他人の些細なことが気になってしまってた。

 コロナでは、みんな当事者みたいな状態で、その中にグラデーションがある。大きな構造で語られることと、個別の事情は違う。でも、個別の事情と別に大きな構造の中では特権的な立場にいるからって、その人がしんどくないってわけじゃない。そのことで変に罪悪感持ったり、自分が傷ついてるのに我慢しなくていい。

 そして、そこを見逃すと、批判の矛先が変な方向にいく。しんどい時には、他人のことを思いやるとか、連帯するとか、不正義に立ち向かう気力がなくなる。そして、立ち上がれ、抗議しろ、連帯しろって声が、できない、しない自分が怒られてるみたいに聞こえてくる。するとくるっと回って、そういう当事者やそこに連帯している人が敵に見えてきちゃったりして、すごくしんどいことになるんだと思う。

 個人的なことは社会的なことっていうけど、まずは自分のこと一番気にした方がいい。自分の気持ちとか、心の声とかをちゃんと聞いた方がいい。構造とは別に、自分の大変さや辛さに目を向けた方がいい。そうしないと、人のことなんて考えられないし、逆に人を攻撃しちゃったりする。元気になったら次はそういうことを気にしたらいいから、余裕のない人はまずは休もう。


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雑誌に書いてみて思ったこと

先日『IN/SECTS』という雑誌と『オフショア』 という雑誌に寄稿しました。
そこで気づいたことがありました。
以下に連続ツイートしましたが、もう少し整理して書いておきます。

 

 

offshore-mcc.net


ウェブ記事に対するしんどさ
今まではどちらかというと編集込みの広報誌やパンフレット、書籍、ウェブのインタビューが多くて、雑誌は会社員のときに月刊誌でライターをしていたのと、
『仕事文脈』で「35歳からのハローワーク 」という連載をさせてもらっているのと、たまに寄稿の依頼が来るくらいで、それ以外ではあまり書いた経験がありませんでした。

2冊寄稿してみてウェブ記事とだいぶ感じが違うなと思いました。
ウェブだと、人気や原稿のよさはプレビュー数ではかられますが、
雑誌は一つの原稿だけ目立ってもだめで、特集の一部として調和が取れているというのも必要です。
また逆に一つの記事だけで見ると目立たなくても、全体として見た時にその記事があるから特集が引き立つということもあります。
だから、すごく目立たないからといって不要なわけではなく、そういった記事も全部を成り立たせる大事な一部で、そういった目立つ記事と目立たない記事が揃って全体が成り立つのが雑誌だなと思いました。
そのような、自分の記事だけで雑誌が成り立っていないというのは、ウェブ記事にはない感覚なので、書かせてもらってとてもおもしろかったです。

これまでウェブ記事に対していろいろなしんどさを感じていました。
よくウェブ記事を読まれるためにすることとして、発信して、つながって、ということが言われていましたがそれに対してずっと疑問を抱いていました。
・プレビュー数を稼がなければならない
・ネットでアピールしないといけない
・そのためにネットでのパフォーマンス(コミュニティづくりやふだんの生活の発信など)が必要とされる
・でも炎上しないようにしないといけない
ようなプレッシャーを感じていました。


ライターの働き方の変化を指摘していた
"読モ"ライターという言葉

ところで、批判も多かったかと思いますが、宮崎智之さんの「ライターが"読モ"化している」という指摘があります。

www.gentosha.jp

宮崎さんの指摘によると、"読モ"化したライターとは、

 

記事中に顔出しの写真を掲載し、SNSを駆使しながら「知」ではなく「共感」を拡散している人たちのことだ。

ということです。
これは、ウェブで何かを書くと、「書くこと」だけが仕事ではなくなるということを指摘していたのではないでしょうか。
宮崎さんの指摘は、ウェブは記事単体で勝負しなければいけないから、その分個人ががんばらないといけなくなったライターの働き方の変化を指摘したものではないかと読みました。

それまで雑誌ならば、それまでその雑誌が持っていたブランド力や宣伝力があったため、ライターが無闇に宣伝する必要がありませんでした。
また、特集記事として他の記事とセットで読まれることといった総合力で勝負していたため、自分の記事だけでがんばらないとというしんどさが少なかったと思います。
そのような自分だけで立ってない感じが、ウェブで記事を書くことのしんどさにつながっているのではないかと思いました。

疲弊しないために
今まで私はウェブで書くことにプレッシャーを感じたり、そのことで疲弊していました。しかし雑誌に書いてみて、それから逃れるためのポイントがいくつかあると思いました。

1.割り切る
まず、仕事は納品まで
よくウェブ記事を拡散して読んでもらうまでが仕事という方がいらっしゃいますが、それが料金に含まれているのならそれでいいと思いますが、期待はされていても、通常は料金が上乗せされていないと思います。
まず自分の仕事は依頼通りに書いて、納品したらそれで終わりと割り切りましょう。
その上でプレビュー数がすくないとか、拡散されないとかを気に病むのはやめましょう。決してライターだけの責任ではありません。

2.自分がなぜその媒体になぜ呼ばれたのか意識する
文章を依頼される場合に、文章よりで依頼される人と専門性で依頼される人とパフォーマンスで依頼される人がいます。
1番目はライターやジャーナリストなど書くことが仕事の人。
2番目は飲食店などをやられていたり、コンサルタントなどをしたり他に本業がある人。その本業での専門性を期待されて依頼される人です。
3番目はフォロワーが多いとか、生活とか言論のパフォーマンスが面白いと思われて依頼される人です。

おそらくいちばん注目されやすいのは3番目の方です。
これまでは2、3番目の方と比較して、自分はライターなのに全然読まれてないと凹むことも多かったのですが、それは依頼の目的が違うので、いちいち比較する必要がないのではないかと思いました。
ジャンル違いの人と比べてもしょうがありません
文章で依頼されたなら、文章を磨くのが一番で、パフォーマンスで勝負する必要はありません

3.目に見えないところできっちりやる

編集をやっていたときに、困ったのが
規定枚数を守らない人と締め切りを守らない人でした。
あとあとデザイナーさんやほかの工程に大きく迷惑をかけます。
やはり一緒に仕事している人がいるのですから、
そういう方たちに迷惑をかけないようにするのが大事だと思います。
つい、人は目に見えるところばかり比べてしまいがちです。
しかし、注文に応じて依頼枚数きっちり期日までにあげて、相手が仕事しやすいように段取り崩さないといったような目に見えない部分は比べられません
パフォーマンスは目立って見えるから比べがちですが、目に見えない部分はどうでしょう。そこをちゃんとやっていることは自信をもってもいいのではないでしょうか。

4.パフォーマンスは得意な人にまかせる
ウェブで書き始めたときに、書くことは得意だけど、パフォーマンスは苦手、今の書く環境だとライターとして難しいのでは……という不安を持っていました。
私もパフォーマーになろうとしていた時期もありましたが、そういうのは得意な人にまかせておけばいいと考えるようになりました。
仕事が来ないかもと不安を抱く人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。書くことが必要とされる仕事は、必ずしもウェブでライターをやるだけにとどまりませんパフォーマンスが苦手なら、無理にやる必要はないのではないでしょうか。

私は前はパフォーマーよりになりたいのか、ライター側に徹するのかぐらぐらしていましたが、今は使い分けたらいいのではと思うようになりました。
また、パフォーマーとしてもネットで露出を多くするとかは苦手なので、もっと得意なところで、自分の持ち味を生かせるような方向でやるようにしようと思いました。
いろいろとマニュアルやこういうことをしろという情報も多いから迷うし、ツールも多いので承認欲求が刺激されて、誘惑が多いです。
だからこそ、自分の性格ややりたい方向性、得意を生かせる方法を考えて、それにあったやり方を見つけるのが疲弊しないコツなのではないかと思いました。

現在zinezinezine2022に出店中です。

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高知の太陽の眼ではフェア開催中

WEZZYで男性と家事連載中

wezz-y.com



『B面の歌を聞け』2号

『B面の歌を聞け』2号「酒との付き合い方」ご紹介ページです。

 


内容

yagakusha.hatenablog.com

目次

(もくじ)
巻頭言

インタビュー
 楽しさと面白さを分かち合いたくなる味 木谷ワイン 木谷一登さんインタビュー
  お話を聞いた人 木谷一登さん

 いつまでも心地よい気分が続くお燗の秘訣  酒うらら 道前理緒さんインタビュー
  お話を聞いた人 道前理緒さん 

特集 酒との付き合い方
 雑に飲んで、雑に死ぬ。 綿野恵太
 酒豪と言われた私が、お酒をやめてみたら。 江角悠子
 ムスリムとお酒 バーヌ
 ワインと生活と 丸茂正裕
 地獄の沙汰も酒次第か? 神田桂一
 コンビニで摂れるハードドラッグ 小田晶房

読書案内
 酒と戦とコロナと女 太田明日香

投稿 
 コロナと酒 小池利彦
 吉田類『酒場放浪記』をB面的に眺めている 立石尚史
 〈お酒にまつわるただのおしゃべり〉 ふふふのZINEメンバー(野呂巧、井上有紀、よしのさくら)

特別企画 紙上B面ラジオ 
 C面について  話し手 モリテツヤ 

特別付録 コロナと酒年表

 

48ページ、2色刷り
デザイン 小田晶房
印刷 Hand Sawpress KYOTO
題字 山下陽光(途中でやめる)
取材、編集、執筆 太田明日香

 

ウェブショップ

yagakusha.thebase.in

 

書店様への卸売りのご案内

税込み1100円、7掛け、5冊~(お店の都合で3冊からでも可)
送料こちらもち
委託はやっておりませんが、イベントに合わせて卸してほしいというご要望がございましたら、委託も可能です。その場合は貴店の掛け率に合わせます。

取扱店情報

★は1号取扱店です。
【北海道】

北海道 Seesaw Books 

 

【東北】

岩手 BOOKNERD

宮城 ボタン

 

【関東地方】


東京 Title

東京 IRA

栃木県 書肆ひるね

神奈川県 圏外書房
〒238-0016神奈川県横須賀市深田台34
営業日:金、土、日、11時30分~23時30分
日曜日の閉店時間は模索中でカフェとbarと併せて「本屋」を営業
SNSはやっておられないそうです!

中部地方

愛知 TOUTEN BOOKSTORE
三重 トンガ坂文庫


【関西】

大阪 Calo Bookshop&Cafe
大阪 シカク

大阪 スタンダードブックストア

大阪 FOLK old book store
大阪 POL

大阪  β本町橋(ベータ本町橋)
大阪 犬と街灯
大阪 ホホホ座 西田辺
大阪 MoMoBooks

兵庫 1003
兵庫 納屋文庫

奈良 とほん

奈良 奈良蔦屋書店

京都    hoka books

【中国、四国地方


鳥取 汽水空港

高知 太陽の眼


【九州】

宮崎 ポロポロ書店
 ※ロゴを作ってくれた山下陽光さんの途中でやめるも扱っておられるお店です。
福岡 All Books Considered



イベントでのご購入(すべて終了しました)
 ・GIVE ME BOOKS NARA!!
 8/21 1日だけ出店

twitter.com


・ふうせんかずら 
奈良の貸し棚書店 7月-10月 

twitter.com

・zine zine zine2022
8/24-9/10 富山 


・太陽の眼出張販売 高知 9月3〜25日

taiyounome.square.site

 感想

B面の歌を聞け2号 内容紹介

B面の歌を聞け2号の内容紹介です。

 

 

 

執筆者

綿野恵太/江角悠子/丸茂正裕/バーヌ/神田桂一/小田晶房/小池利彦/ふふふのzine/タテイシナオフミ/モリテツヤ

(インタビュー)木谷ワイン/酒うらら
(広告)神戸に本屋をつくる/キョートット出版

企画・編集|太田明日香

 

巻頭インタビュー


奈良初のワイナリーに挑戦中の木谷ワインの木谷一登さんと、お燗酒の魅力を伝える酒うららの道前理緒さん。

 

 

特集


綿野恵太さん「雑に飲んで、雑に死ぬ。」江角悠子さんの「酒豪と言われた私が、お酒をやめてみたら。」は禁酒体験から見えてきたもの。バーヌさん「ムスリムとお酒」はお酒にまつわるハラスメント体験について。

丸茂正裕「ワインと生活と」追浜のワインスタンド店主による時短への憤り。ライター神田桂一さん「地獄の沙汰も酒次第か?」は飲めて当たり前と言われる業界で下戸がいかに生き残ってきたか。


印刷もお願いしたhand saw press の小田晶房さんのお酒をやめた体験記「コンビニで摂れるハードドラッグ」、酒にまつわる本を紹介する太田明日香「酒と戦とコロナと女」



読者投稿欄


新潟のジンイベントふふふのzineのメンバーによるお酒にまつわるおしゃべり。
神戸に本屋を作ろうと活動中の小池利彦さんのおじいさんの思い出。
そしてフリーペーパーHOWEの立石尚史さんによる吉田類の酒場放浪記鑑賞記。


コロナと酒年表はコメカさんの年表作りに触発されてやってみました。
2020年から21年のコロナと酒にまつわる出来事をまとめました。


特別コーナー

 

紙上B面ラジオ。
去年イベントで流したモリテツヤさんのトークを再録。鳥取にミニシアターjig theaterができて街がどう変わったかについて話してもらいました。

 


次号予告

テーマは「歩く、走る」

寄稿募集中、テーマは「自分の足で」
1200字以内でお願いします。

 


広告募集

 

『B面の歌を聞け』では広告を募集しています。
詳細はお問い合わせください!

 

サスティナブルな本の売り方を考えてみる

サスティナブルな本の作り方、売り方に興味があります。
サスティナブルというのは、環境に対してと作家に対してと本屋に対しての3つの方向性からです。
まず今の本の流通は疑問に感じる部分があります。
例えば本の流通は返品があるから本屋が無駄なく仕入れられる仕組みとなっていますが、逆に無駄も多いと思います。
例えば、発売時期に注文が多くて、出荷が追いつかなくて増刷したとしても返品されてきて、増刷しなくてよかったということがあります。
また、返品された本は角やカバーが傷んだり汚れたりするのでカバーを掛け替えますが、改装用にカバーを余分に刷っています。
そのカバーは使わなかったりして無駄になることもあります。
また、話題作りのために本をタワーのように積んで売るという方法がときどき取られますが、それのために無理に刷ったりすることもあります。
本屋は取り分が少ないし本は多品種少量生産の商品なので返品のおかげで、本屋はいろいろな本を取り揃えられます。だから一概に返品を悪者扱いはできません。

しかし一方でそれのせいで在庫がだぶつくということもあります。
在庫となった本は、資産になりますので、売れないで一定期間が過ぎると断裁されゴミとなります。この地球環境を考えないといけない時代にそんなことでいいのでしょうか。
また断裁は作家にとって非常にダメージになります。誰でも作家であれば経験することと言われていますし、それを乗り越えてこそという意見もありますが、しかしなんでそんな出版社と流通の都合にいちいちつき合わないといけないんだろうという疑問は残ります。

じゃあそこで買い切りではどうだろうと考えてみます。
しかし、そこでもまた批判がいろいろあります。まずそんなに余力のある店ばかりではない。また、一般に言われている独立系書店のラインナップが金太郎飴みたいだというような批判もあります。
正直私はそれは解像度が低い批判だと思っているので、それについては後日稿を改めて論じたいと思います。

また、それだけではありません。以前このような文章を書きました。

 

yagakusha.hatenablog.com

 

300〜500部程度の本を10部ずつ30店舗くらいに買い切りでおろしたら採算が取れるのではないかというアイデアです。しかし、こちらの在庫はなくなったけど、本屋におろした分が動かなくて在庫になるという場合もあります。
作り手側だけ採算が取れても本屋の損になるのもなんとなく違うのではないかという気がします。


それで思いついたアイデアがあります。
全国で協力店を募り、12店舗くらいで1月ごとに巡回展をすればどうでしょうか。

それと似た事例で全国でトークイベントをしながら売り歩くという方法があります。
しかし、この場合一店一店に対し仕入れとか日程とか交渉をしないといけないし、正直イベント当日にそんなに売れない場合もあります。
なので、イベントの有無にかかわらず1か月くらいじっくり置いてもらって売れ行きを見てもらって扱うかどうか判断するという方法です。
それじゃ委託と変わらないではないかと思われるかもしれませんが、そこは抱き合わせでほかの書籍を並べるとか、著者のイベントをやるとか、物販もするとか、なんらかの工夫をします。

全国のできるだけたくさんの店舗とつながるという方法もあると思うのですが、300から500部程度だといかに確実に売れる店とつながっておくかの方だ大事じゃないかと思います。

例えば採算が取れる部数が150〜200部くらいだとして、10冊✖️20店舗くらい定期で扱ってくれるお店があれば、残り300部は3〜5年でイベントと手売りとネットショップで売れていくでしょう。

今までの実感ですと、私の場合はトークイベントよりも対面接客の場合が一番売れるので、定期的に手売りできる機会を見つけて売るのが一番いいやり方です。なので、お店も全国のいろんなお店とつながるというよりも、確実に売れそうなところと密につながっていくという形があっていると思いました。

売る場所については、なるべく東京以外で売っていきたいと思っています。
東京ではすでにDIYアナキズムに特化したインフォショップIRAとランドマーク的なTitleというお店で扱っていただいているので、もうそこだけでいいのではないかと思いました。

ira.tokyo

www.title-books.com


もちろん業界の人が多い東京で業界の人の目に留まればそれだけチャンスも増えるでしょうが、そこだけに受けても、あまり意味がないのではないかと思いました。
これも実感ですが、私の作るものや書くものはあんまりフォロワーが多くなかったり、地方ずまいの人だったりの方が反応してくれるような印象があります。
前はもっと中央の人に認められてメジャーになりたいという欲がありましたが、
それよりも自分の作ったものを読んでくれる人にきちっと向き合うことの方が大事だろうと思いました。

まず第一弾として、9月3日(土)〜25日(日)に高知の太陽の眼さんで夜学舎まつりを開催します。
夜学舎で作った『愛と家事』『B面の歌を聞け』1号と2号、『密鬱日記』とこれまで寄稿した『女と仕事』『彼岸の図書館』『オフショア』『仕事文脈』等が揃います。

23日と24日には来店イベントもございます。高知の皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
それから、全国の書店の方やスペース運営、お店をやられている方で、うちでも夜学舎まつりをやってもいいという方がいらっしゃいましたら、是非お声かけくださいませ。
本とパネルはこちらで用意させてもらいます。

t.co

webshopはこちら→https://yagakusha.thebase.in/