夜学舎

太田明日香の本を出すレーベルです

ブログを編集者代わりに使う

わたしは仕事柄よく人に「どうやって本を作るんですか」と聞かれることが多い。
それまでは一人ひとりその都度、聞かれたことを答えるみたいな感じだったけど、
せっかくの機会なので、「ZINEのとも」というシリーズとして、ZINEづくりのヒントを公開したいと思います。

どうか万国の「ZINEのとも」の皆様の参考になりますように!


4、ブログを編集者代わりに使う
ZINEなんか紙に手書きで書いてコピーしてホッチキスで止めて配れば誰にでも作れるし、そういう勢いで作ったようなノリや、手作り感満載のところが醍醐味だと思う。
しかし、紙にして印刷して配るのはそれなりにハードルの高い行為だ。
だから、文章を書くのが苦手な人や、切り口がなかなか決まらない人は、まずはブログから始めると気楽にやれると思う。

まず、ブログのメリットはコンテンツのストックができる、文を書く練習になる、読者の反応を見やすいところだ。

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コンテンツのストックができる
編集というのはたくさんある中から、どこを切り出すか、どれだけ削るかという作業だ。
編集には一から何かを目指して組み立てる、というやり方もあるけど、とにかく作りたい内容に関係あるものをいろいろ集めていって、その中から選りすぐりのものを抜き出す、という方法もある。
何か文章を書こうとしたときに、プロの作家でもない限り、全部が全部クオリティの高い文章に仕上げるのはなかなか困難だ。そういう人にとってブログはとても味方になる。
どんな人でも、ブログを長く続けていたら、これは!と思うような記事が書けるときがあるはずだ。
そういう自分の中でのイチオシの記事をストックするためにブログを利用するといい。
よく、アクセス数を上げたり、ファンを増やすために更新頻度を増やせとか、クオリティより更新頻度が大事みたいな意見もあるけど、ZINEづくりの場合はむしろいい記事のストックをためることが重要なので、それはあまり重要じゃない。
それからよくブログの所要時間○分と書いてある記事もあるけど、この場合は少なくてもいい記事をストックできた方がいいから、別に短い時間で書かなくてもいい。

文を書く練習になる
文もスポーツや料理と同じで、練習すればするほどうまくなる。だから、たくさん書いて練習した方がいいと思う。

しかし、自分の書いた文が残ると思うとなかなか筆が進まない。
ラインよりもメール、メールよりも手紙がめんどうで、なかなか筆が進まないのと同じで、いきなり紙の上に書くのは気が進まなかったりする。残るから上手に、ちゃんと書かなければと気張る。

だったらブログは文章の練習に最適のツールだ。
嫌なら消したらいいと思って、とりあえず何かしら文章を書いてみることを習慣にするのだ。
このときに大事なのは、アクセス数を気にしないことだ。
もちろんアクセスのたくさんあるブログは、おもしろい記事や独特の視点、深い調査など文章もコンテンツも面白いものが多い。でも、ブログにはブログの作法がたくさんあるので、それ以外の要因がからんでいる場合もある。だから、一概に文章がうまいとかすぐれている=アクセス数とはならない。

だから、まずは練習のためと割り切って、文章を書くことを習慣化し、練習して文章を書くことに慣れるためにブログを書いて、アクセス数はあまり気にしないでやる。

読者の反応を見やすい
さっきの内容とは矛盾するけど、直接の知り合いでも、匿名でも反応を見やすいのがブログのいいところだ。どの記事の反応がよかったか、どんなレスポンスがあったか、SNSでの評判はどうかが、わかりやすい。
できたら、自分のSNSでシェアすると、反応が返ってきやすいのでいい。

自分の書いた物がどういう感想を持たれるのか客観的にわかればいい。
反応というとSNSでよく拡散されたり炎上する記事などを連想するかもしれないけどけど、そんな大々的なものである必要はない。
自分の中ではよく書けたと思うもと反応がよかったものと比べて、人の関心や興味がどこにあるかを知るために使う。

だから反論されたからといってうまく論破しようとしなくてもいい。
それよりも、指摘や批判があった点を書き直したり、もっと深く取材したり、アクセスが多かったブログ記事を本のタイトル候補にしたりして、より内容を深めるための手段に使う。

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わたしは、本作りというのは第三者の目が入った方がいいものになると思う。その役割が編集者だと思う。一般の本だと編集者がついて、アドバイスをくれるけど、ZINEだとなかなかそういうわけにはいかない。
だからブログを編集者のように使うのだ。


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