夜学舎

太田明日香の本を出すレーベルです

自分の読みたいものが現れる瞬間

わたしは仕事柄よく人に「どうやって本を作るんですか」と聞かれることが多い。
それまでは一人ひとりその都度、聞かれたことを答えるみたいな感じだったけど、
せっかくの機会なので、「ZINEのとも」というシリーズとして、ZINEづくりのヒントを公開したいと思います。

どうか万国の「ZINEのとも」の皆様の参考になりますように!

2、自分の読みたいものが現れる瞬間

コンセプトとか言うと難しいけど、要はこういうふうに仕上げたいっていうイメージを強く持っていると、あとの作業は進みやすい。
物を作るときは、これが結構大事だと思う。
なぜなら、読みたいものはそこになくて、それを作るのは自分だから。
だから、自分は「こういうものを作ろうとしている」っていうイメージを強くもって、そこに向けて作っていくのがいいと思う。

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わたしは植本一子さんの『かなわない』を参考にしたけど、何かを参考にするときはそのまま真似するんじゃなくて、その形のどこが自分の伝えたい感じにぴったりなのかを考えてみるのが大事だ。
植本さんの本は最後の「かなわない」という文章が全体を引き締めていた。
やっぱり、自分の本にもそういう、核になる文章だったり言葉だったりが必要だなと思った。

     



以前の結婚生活のもやもやを表す言葉として、「愛と家事」が思い浮かんだときに、いけるかもと思えた。実際にそのタイトルでブログを書いた時は反応が多かった。
「愛と家事」を核にすると決めたことで、今まで書いた文章を選ぶ基準ができたし、足りないところも見えて来た。

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参考にするものはもちろん、実際に形になっているものや言葉じゃなくてもいいけど。
とにかく大事なのは、なるべく具体的にイメージすること。
どういう人に読んでほしいとか、どんな店で売りたいとか、そこに並んでいるとしたらどんな形がぴったりかとか、それにふさわしいのはどんな紙とか。
逆に中身から考えていってもいい。タイトルの感じとか、文体とか、絵を付けるならこんな感じとか。

その具体的なイメージをもとに、どうやったら自分の作りたいものを形にできるか考えていく。考えていると、あるとき、ぴたっとはまったと思う瞬間が出て来る。
多分、自分の読みたいものがここに現れたって瞬間だと思う。
それは、一つのストーリーや場面が思い浮かぶ瞬間かもしれないし、タイトルが現れる瞬間かもしれない。
もしかしたら、映像や文章かもしれない。
そしたらあとはそれを実現させるために手を動かせばいいだけだ

 
そこまでできたところでようやく制作に入る。

 

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