夜学舎

太田明日香の本を出すレーベルです

ZINEの手売りをしてみよう(ネット編)

わたしは仕事柄よく人に「どうやって本を作るんですか」と聞かれることが多い。
それまでは一人ひとりその都度、聞かれたことを答えるみたいな感じだったけど、
せっかくの機会なので、「ZINEのとも」というシリーズとして、ZINEづくりのヒントを公開したいと思います。

どうか万国の「ZINEのとも」の皆様の参考になりますように!

ZINEの売り方について、本屋さんで取り扱ってもらう話、
イベントでZINEを売る話を書きました。

 

yagakusha.hatenablog.com

 

yagakusha.hatenablog.com


今回はネットで直接販売する売り方について考えてみたいと思います。

◎インターネットショッピングサイトを使う

インターネット上に個人のお店を作れて、決済を行ってくれるインターネットショッピングサイトがいろいろあります。
手作りに特化したサイト、アーティストが集うサイトなど、売りたいものによって細分化しています。
手数料がかかりますが、難しい技術も必要なく、
素人でも簡単にオープン、運営できるのがそれらサイトの魅力でしょう。
わたしはBASEというインターネットショッピングサイトを使っています。

https://yagakusha.thebase.in/

BASEはBASEの口座があって、購入者がそこにお金を振込み、
私がのちにBASEに売り上げを請求して自分の口座に振り込んでもらいます。
デメリットは振込時、一定の売り上げがないと手数料が取られるとか、
商品一点の売り上げあたり手数料が取られるとか。
メリットは相手と直接連絡先を交換せずにやりとりできる、
様々な振込方法が選べる点、
BASEのサイトに載せてもらえる点でしょう。

◎メールで受注

メール受注はメールで直接相手とやりとりして、
受注後に銀行口座を伝えて振り込んでもらう方法です。
これは手数料もいりませんし、特に何かのサイトに登録する必要もありません。
デメリットは直接お客さんとのやりとりが必要なので、
何らかのトラブルが発生したときに自分で対応しないといけない、
連絡先を伝えたくないお客さんをはじく可能性がある、
振込されたかいちいち銀行に確認しにいかなければならない、
などです。ただし、ネットバンクなどを使えば、3つ目のデメリットは解消できるでしょう。
メリットは手数料が取られない点です。

 

◎ネットで売ることの是非

利益を上げるには、どこにも卸さず、
自分で全部メールで受注して直接手売りするのがいいでしょう。
もし、ものすごく人脈が広い、実用書などの売れるような内容である、
すでに多くの人に知られていることを本にした、などであれば、それも可能でしょう。
しかし、それだけですべて売れるとは思いません。
ネットで売るには、それなりの広報活動が必要です。
それについては回を改めて書きたいと思います。

ZINEの手売りをしてみよう(リアル編)

わたしは仕事柄よく人に「どうやって本を作るんですか」と聞かれることが多い。
それまでは一人ひとりその都度、聞かれたことを答えるみたいな感じだったけど、
せっかくの機会なので、「ZINEのとも」というシリーズとして、
ZINEづくりのヒントを公開したいと思います。


どうか万国の「ZINEのとも」の皆様の参考になりますように!

前回売り方の話を書きました。

yagakusha.hatenablog.com


◎どんなイベントに出すのがいいか

売る場所は本屋でだけではありません。
今は文学フリマやZINE制作者のための即売会など、
自分で本を作っている人が直に販売できる場がたくさんあります。
自分の本ができたらぜひそういう場で積極的に売っていきましょう。

文学フリマや即売会は同好の士に会える絶好の機会です。
お客さんも、ある程度ZINEを買うことに慣れている人も多いでしょう。
またブースつながりで友だちや知り合いができたりします。
しかし、人数なども多いですし、申し込み手続きなど結構きっちりしています。
そういう大きなイベントはハードルが高いという人は、
もう少し小規模のイベントをさがしてみましょう。

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写真は、奈良の初宮神社で毎月5のつく日に行われている初宮五縁市の様子

地域のマルシェ、自作のものを売ってもいいというフリマ、
手作り市などもいいでしょう。
ただし、お客さんが本好きばかりとは限りません。
なので、ここはある程度本好きが来ると見込める場がいいでしょう。
例えば一箱古本市や本屋で開催されるイベント、
出店者に本屋の人や古本屋の人がいるイベントなどが狙い目でしょう。
参加者は本好きの人が多い可能性があります。
また、ある程度定期的に開催されているイベントも狙い目です。
単発よりも知名度が高く、常連客がついている場合が多いです。

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自分の出すものが趣旨に合っているかわからない場合は、主催者に問い合わせを

◎売ることよりも場や交流を楽しもう

次に出す目的です。
なんでもそうですが、こういうイベントでめちゃくちゃ売れるという期待は禁物です。
売れなかったときの帰りのダメージが辛いし、
なによりイベントの最中にモチベーションが下がります。
なので、本末転倒かもしれませんが、本を売るのを一番にしてはいけません
がんばって売り上げをあげようとするのもいいかもしれませんが、
それが場の雰囲気と合わないようならむしろ逆効果になります。
むしろここは宣伝の場だと割り切りましょう。
業界外の人、インターネットでは出会えない人と出会う場と捉えましょう。
チラシと名刺を持参。
お客さんにはとりあえず声をかけてみたり、チラシを渡してみたりしましょう。
思わぬ情報を得られたり、自分は買ってくれなくても人にすすめてくれたりします。
口コミを期待しましょう。

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小学生の女の子がお母さんと一緒にはっさくを売っていた


◎出店時のアドバイス

それから、一番のお客さんはほかの出店者です。
できたらチャンスがあればほかのお店で買い物してみましょう。
お互い交流しているうちに興味をもってくれる可能性があります。
なんならチラシや名刺をよぶんに渡しましょう。
口コミで広めてくれるかもしれませんし、
何か別のイベントで声をかけてくれるかもしれません。

何回かこういうイベントに出してみて思ったのは、
よっぽどの本好きでない限り、出せるのは500円から
1000円以内までかなという印象です。
もし作っている本が高値なら、ワンコインで買えるような
オリジナルグッズを作るのもいいでしょう。
また、関連書籍を売ったり、ほかの人からおもしろそうなZINEを仕入て、
おすすめ本として売るのもいいかもしれません。
あまり種類は多すぎると肝心の自分の本が目立たなくなるのでいけません。
3-5種類くらいあると、話のネタにもなっていいです。

◎読者を探す手段

わたしはいつも、だいたい半日出して5冊くらい売れたらいい方です。
それでは食べていけませんし、割に合わないかもしれません。
こんなちまちま売ることに意味があるのか?といわれたら、答えに困ります。
しかし、知らない土地やいつもとは違うコミュニティに行くのは刺激になります
それに、インターネットの向こうにいる人ばかりが読者ではないでしょう。

どんな本でも、本という形になっている限り、
不思議なことにだれか読んでくれます。
でも、その読者は黙っていて向こうからやってくるというわけではありません。
だから、自分に無理のない範囲で、自分から読者を探しに行くのです。



【トークイベントレポ】2018/2/24@Calo Bookshop & Cafe

2月24日にCalo bookshop&cafe
トークショーを開催しました。


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詳細はこちら

yagakusha.hatenablog.com


来てくださった皆様ありがとうございました。
当日までドキドキでしたが、おかげさまで満員。


会場のCalo Bookshop& Cafeの石川さんの感想

 一緒に登壇した茂木秀之さんの感想

 遊びにきてくれたちなみさんの感想

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茂木さんたちの作った本はこちらで購入できます。

mogikenomise.base.shop



内容は、茂木さん一家の子育ての話が印象に残りました。
子供ができたことで書くこととかがより豊かになった。
制約にはなってないというようなことを言っておられて、
世間的には子育て=負担という切り口で語られることが多いので、意外でした。


また、茂木さんサイドからの質問は、
書くときの人格について自分の本来の姿に近いと思うか?
もし自分の子供ができたときにやりたいこと、逆にやりたくないことはあるか?
など深いものが多く、どう答えていいか迷うものもありました。
特に、実家の家事に影響されていると思うかという質問は、熱くなってしまいました。


あとは、質問コーナーが毎回新鮮です。
読書で人の気持ちがわかったような気になっているけど、
体験しないと本当にわかったという感じにならなくて
そういう自分にがっかりするという質問に、
茂木秀之さんがわりとはっきりとそういうものですよと答えていたのが印象的でした。

 

パートナーシップについても割とよく聞かれます。
凹凸がぴったり合うことはないけど合うように寄せていく、
かつ二人とも個人であるという自覚をもつみたいなふうに答えました。
これは、いつも夜寝るときに思います。
どんなに仲良くても、寝るときは一人だなって。

終わってからの雑談で、家事の話ってだいたい掃除機をグレードアップといような
家電の方向になりませんか。
ある人に家事代行って発想にはならないんですね、と言われたのが、
確かにという感じで新鮮でした。

わたしは頼もうと思う気すらなかったので。
それも値段なのか?罪悪感なのか?家に入られるのが嫌なのか?
とにかく、自分はああいうサービスの対象外と
無意識に思っているようなところがあります。

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Caloさんにサイン本作りました。
おみくじ式に本から抜き出したいろんな言葉が書いてあります。
よかったらこちらもお手にとってみてください。


家事について語る会や読書会もやってみたいな〜。

ひとまず発売記念のトークイベントは一段落。
ほかの地方でのイベントは企画中のものもあります。
告知をお待ちくださいませ~。


【出店情報】
なお、たまに一箱古本市や地域のイベントに出店して手売りで本を売っています。
次回は4/29(昭和の日、という言い方は好きでないので旧みどりの日
阿倍野の大吉堂さんの「王子の店先古本市」に出ます。

 

http://log-entry-95.ht




 

家族と表現についてのトークショー@Calo bookshop&cafe 2/24(土)<13:30~15:00>

家族と表現についてのトークショーをします。


人文と生活おしゃべり会 番外編 

『愛と家事』太田明日香さんと話す、家族の距離・表現の距離


@大阪 Calo bookshop&cafe

出演:太田 明日香、茂木秀之、茂木美月

http://www.calobookshop.com
参加費:1500円(ワンドリンク付き)
予約:詳しい内容・お申し込み方法はこちらをご覧ください。


「人文と生活おしゃべり会」は茂木秀之さんが2017年から開催している、
いろいろな人文書の内容を通じて生活
や世界のことを話し合う会。

茂木秀之さんは障がい者の身体介助の仕事をしている、一
児のお父さん。
子育ての中で子育てとケアの共通点、
身体
論や教育について考えたことを『介助/赤ちゃん/神と死者』という
ZINEにまとめました。

美月さんは、小沢健
二氏が連載する『うさぎ!』に文章を寄せるなど、
短い文
章をいろいろな形で書いてきましたが、その中から子育てのこと、
山の上の家での生活を『体ちゃんと赤ちゃん』『
山の家月記』
というZINEにまとめました。

 https://mogikenomise.base.shop/


家族、日常について書くこととは?
ネットではなくて本に
まとめるのはなぜ?
書く前と書いた後でどうなった?
など
、お互いの作品について公開インタビューします。

茂木秀之さん、太田明日香による「家族について考えるブックリスト」
「結婚と家事について考えるブックリスト」も配布予定。

みなさんふるってご参加ください。

【トークイベントレポ】2018/2/12@iTohen

2月の3連休にトークイベントを開催しました。
連休最終日2/12に大阪のiTohenで。

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もともとiTohen
のオーナーの鰺坂さんは、デザイン事務所をやりながら、
表現活動をする人を応援したり、学校を出てからも学び続ける場がほしいと、
カフェ兼ギャラリーを作ったそうです。

現在では周りの作家や表現活動をしている人に声をかけ、
「昼の学校、夜の学校」という学びと交流の場を作っています。

 

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iTohenは今年で15年。

聞き手は画家のマメイケダ(@KobuchadaMame )さん
おいしそうで、インパクトがある絵が魅力的!
20代半ばですが、イラスト集を誠光社から発行したり、
イラストが装丁に使われたり、活躍中。

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先頃発売されたばかりのノブうどん帖

やっぱり今回も女性の参加者が多かったです。

 
日本の家族観についてどう思うか、再婚してみてどうか、
何が違うのか、再婚について怖さはなかったのかなど、
何かしら悩みやもやもやを抱えている方が
自分の体験を重ねてヒントや答えを求めたくていらっしゃった印象でした。

もちろんすべてに完璧にお答えできるわけではありませんでしたが、
なんとなく悩みやもやもやの核に
何かしら思い込みや、常識があり、
自分の考えや行動を自由にしきれていないような印象。

私も含めてそこから完全に自由になれる人なんていないけど、
いろんな人に会ったり行動することで、
立ち止まって考えることはできるのかなあなんて思ったりしました。
私の本もそんなお役に立てていたらいいなあ。

次回は2/24にCalo bookshop&cafeで茂木さん夫妻と!
http://www.calobookshop.com

【トークイベントレポ】2018/2/10@ルヌガンガ

2月の3連休にトークイベントを開催しました。

まずは2/10に香川の本屋ルヌガンガで。

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2017年にオープンした、絵本、郷土本、文芸、エッセイから人文、旅
とあらゆる分野に目配りきいたセレクトの居心地良い雰囲気の書店。
店の奥にこじんまりしたカフェがあり、くつろいだ気分で本を選べます。

聞き手は香川を拠点に人物や風景写真で活躍する
写真家の宮脇慎太郎(@solowmiyawaki)さん

  

宮脇さんの曙光、かっこいい!

参加者は女性が多くて、最後にお一人ずつコメントをもらいました。
その中でお母さんとの関係や距離感に悩むコメントをいくつかいただいた。
私は反抗期が遅れて来たとか、本のイラストの、
似てるけど違うものという話をしました。


家事についても、配偶者の方がメインでやってるって方や
相手のテリトリーだから手伝うと嫌がられるみたいな話もあって、
人のうちの話を聞くのは参考になります。

最後に、ある参加者の方にすっきりした顔されてますねって
何度も言われたのが印象的でした。
私もたくさん読んで書いてすっきりって感じでした。
私の本はコレ一冊で解決って万能解な本じゃありません。
でも、その方がすっきりできるきっかけになったらいいなと思ったりしました。

それから、本屋で開催しただけに、参加者はやっぱり本好きの方が多くて、
トークショーに参加するのは初めてで本には作者がいるとわかって感慨深いという方、本屋に行ってたくさん買うのが趣味って方など。
こういう人たちによって支えられているのが実感できました。
お越し下さったみなさん、ありがとうございました。

『愛と家事』書籍版感想 2018年1月

買おうか迷ってる方に。
いろんな感想があります。

読了。いつの間にか握り締めてた型を捨ててしまおう、と思えた。#太田明日香 #愛と家事 #満月夜 pic.twitter.com/ly0SO0pJUd

— 髙橋奈鶴子 (@tsuru3po) 2018年1月31日

 

中小企業戦士の真田幸村、ヤンキー高校の転校生、坂本龍馬と、キレのある歴史パロディ漫画『もしも◎◎が◎◎だったら』シリーズの井上ミノルさんの感想。

 

『愛と家事』、極めて個人的な事柄を綴っているんだけれど主観と客観のバランスが良く、サラッと読めるけれど胸に色々な想いを残す本。母娘間の確執、愛について、結婚について。著者の葛藤や迷いに共感し、読後にはかすかな光明。多くの女性を救うんじゃないかなと思う良書。

そして!愛と家事は別!声を大にして言いたいフレーズ!「愛があるから家事をするのでも家事をするから愛があるのでもない」「『うちの味』『料理に愛情』(中略)そんな言葉なんかゴミ箱に捨ててしまえ。(中略)お母さんや主婦や妻を家に縛り付けておくための屁理屈なんか聞き流してやる」#愛と家事

— 井上ミノル (@minoru_arigiris) 2018年1月31日

 

インスタグラムでもちらほら。

www.instagram.com

「許すとか、なかったことにする、ということではなくて、ちゃんと自分に何があったのかを理解して、そこでついた傷や、恨みや憎しみを手放して、今の家族と幸せになりたい」というところがあって、その大失敗からのいろいろは忘れるんじゃなくて手放すのか!とすーーっと心に染んでぱぁぁっと晴れた。

 

www.instagram.com

家族をつくることに失敗した。
で始まり、
愛のもろさに恐ろしくなった。
という一文。
ヒャッとする。

 
みなさん、印象に残る部分がそれぞれで、おもしろいですね。
おおむね好意的に読んでいただいているようで、うれしいです。

webshopはこちら→https://yagakusha.thebase.in/