夜学舎

太田明日香の本を出すレーベルです

『愛と家事』感想いろいろ(2016年9月-11月)

『愛と家事』を出して、2か月が過ぎました。

最初は、こんな個人の結婚や離婚や家族の話を読んでもらえるだろうかと不安がありました。
また、この本にはその中でのわたしの行動や考えを、できる限り忠実に書きました。
そこには世の中の常識では批判されるような行いや言動も含まれています。
それは自分をそのまま世間に投げ出すようで、少し怖いことでした。

出してからは予想に反して、いろんな方が買ってくださり、
いろんな本屋さんで仕入れていただいたりしました。
本当にありがたいことです。

Twitterなどでも感想を書いてくださる方がいて本当にうれしいです。
せっかくなので、ここでシェアしたいと思います。

販売先のTitleさん



○販売先のCalo Bookshop & Cafeさん



○依託をお願いしているmiyakawa makiさん


○読者のちなみさん







○読者のマキフジさん

友だちの太田明日香さんの「愛と家事」を読んだ。気がついたらビール3缶飲んでた。太田さんに対する憧れと、尊敬と、嫉妬がある自分をとても恥ずかしいと思った。考えてきたこと、経験してきたことが違い過ぎる。あぁ、面白かった。よく眠れそうだ。

 

○読者のイワサキケイコキカクさん

過去#シゴトとセイカツとワタシ にご出演頂いた、編集者の太田明日香から本が届いた。私小説っていうのかしら。私ジャンルとかは分からないけれど。とにかく届いてすぐに読んだ。一気に全部。重い内容だけど読後感は良かった。「自分を信じて、今と未来だけ見て生きて」行こう。

 


暗い、どろどろしてる、赤裸裸だけど、スッキリ、明るい気持ちっていう感想が多いので、安心しました。
こうやって、「わたしだけの誰にも理解されない辛い経験」を
文章にして読んで共感してもらったことで、
「誰かも似たようなことを経験したり、思ったことがある」ということを知り、
わたしの中の凝り固まった気持ちも少しずつほぐれていきました。

引き続き感想については紹介させていただきます。
ツイートの際は是非「#愛と家事」「#夜学舎」とお書き添えください!
また、書いたけど載ってないという方はお知らせください!
直接メールで感想を送ってくださるのも歓迎です!

 『愛と家事』はこちらからも購入可能です。

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遠くに行きたい

もうずっとお母さんのことが重い。

ずっとそうだった。

特に10代の終わりから。
他の家の人よりかまいすぎだと思う。
やめてほしいことをやめてくれない。
とにかく物をあげたがる。
いらないものをくれる。
自分で決めたい、考えたいと言っているのに、横からいろいろ言ってきて、わたしが自分の頭で考える時間をくれない、待ってくれない。
わたしが決めたことに対して何か言う。
でもその何かは、お母さんの理解できる何か、「こうなってほしい」何かで、わたしの意見をくんだ何かじゃない。
何かしようとするときに、頼んでないのに勝手にお金をくれようとする。
それはありがたいことのはずなんだけど、
でもありがたいと思わされて、受け取ることでお母さんの意見も取り入れないといけないような気分になって素直に受け取れない。
そのせいで全然楽しくない。
いつもやりとげなければいけないという義務感と恩を返さなければと思わされる。
いつも先回りして通路をふさがれる感じがする。

わたしが遠くへ行こうとするたび、アドバイス、心配、お金、いろんな形を変えて、より強い引力で引き止めようとする。
そのせいで出て行こうすると、強烈な罪悪感に襲われ、そして結局何もできない。
罪悪感は依存に変わって、わたしもそこから逃れることに不安を感じる。
なんで他のうちの子みたいにもっと放っておいてくれないのか。
失敗したとき、間違った選択をしたと思ったとき、
時間をくれなかったから、いらない口をはさむからと責めると、
決めたのはわたしじゃないかと言われる。
それは正論だ。
決めたのはわたしで、決められなかったのも間違った選択をしたのもわたしの弱さだと思う。
でも、家族を引き合いに出して、わたしをあの田舎の小さな家に、気持ちを縛り付けようとするのはずるいと思う。


だからわたしはどんどん遠くに行きたい。
どんどん遠くに行かないとお母さんはわたしが別の人間だとわからない。
例えばわたしは子どもが好きじゃないこと。
例えば家族とか血のつながりみたいなものがいちばん尊い価値観だと思ってないこと。それをわかってほしい。
でもお母さんはたぶん理解できない。
理解できないから、勝手な理屈で納得しようとする。
できないならわからないと放置すればいいのに、お母さんは勝手な理屈で自分のわかる世界にわたしを押しとどめようとする。
だから、お母さんと会うときはお母さんが理解できるわたしを演じないといけなくて、それが息苦しい。

もっとどんどん遠くに行きたい。
お母さん声の届かないところまで。
じゃないと、わたしはいつまでたってもほんとの気持ちがわからないままだ。
お母さん声の届くところにいると、いつまでもお母さんの価値観に押さえつけられてしまう。
お母さんの価値観というのは、お母さんだけにあるんじゃない。
わたしを育んだお母さんを育んだ、故郷のあの小さい島の規範の中にあるやつと同じだ。
女は黙ってろとか若いやつは黙ってろとか親戚付き合いが大事とか家とか墓とか田んぼとかを大事にしろとか。
ああいうことを言われるたびに、わたしは体中が怒りで沸騰する。
間違ったことを言っていなくても、わたしが選んだものではない性、わたしが選んだものではない生まれた場所、わたしが選んだものではない生まれた時代、
それをたてに黙らされ、主張が押さえつけられるのは理不尽だ。
その理不尽さに頭が沸騰して黙れと叫び出したくなる。
黙らないのはわかっているから、
全部捨ててどんどん遠くに行きたくなる。

お母さんの声が頭の中で響いていつまでも何も決められなかった。
お母さんの引力に引っ張られて負けていた。
負けたのは、自分が責められたくなくて、
その場で納得したふりをする弱さがあったせいだ。
罪悪感に飲み込まれる弱さがあったせいだ。
恩知らずや薄情と言われたくない弱さがあったせいだ。

だからお母さんの声をふりきった人や、
お母さんの声を元から気にしなくていいような人や、
強さをもっている人がうらやましくなって、
今度はその嫉妬に飲み込まれそうになる。
そうやって、人の声に飲み込まれ、
自分のほんとうに欲しいものをつかみ取れない
弱いわたしだった。
いつまでも自分の中の弱さに負けたくない。
だから、わたしはどんどん遠くに行きたい。
お母さんの声の届かないところに行きたい。
懇願も感傷も罪悪感も全部振り切って、
どんどん遠くに行きたい。
どんどん遠くに行かないとわたしはわたしの人生を生きられない。
わたしはわたしの人生を自分の手の中にしっかりと握って、
どんどん遠くに行ったその先で、
今度はわたしの声を響かせたい。


 母との関係については、『愛と家事』にも書いています。
『愛と家事』はこちらからも購入可能です。

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2017年12月11日追記
こちらの記事は、2018年1月刊行の『愛と家事』に収録予定です。
こちらもどうぞよろしくお願いします。

 

集え、文京区の本好きたちよ(しのばずくんの本の縁日@千駄木・養源寺 11/3)

一箱古本市発祥の地・千駄木にある養源寺で、書店(新刊書店&古本屋)
や出版社20社が集い、ミニコミや本(新刊&古本)を売る
しのばずくんの本の縁日が開催されます。

雑誌『仕事文脈』発行元のタバブックスさんのブースで『愛と家事』を販売してもらいます。


   

※7号と8号は寄稿させてもらいました。

tababooks.com



タバブックスさんは雑誌だけでなく、
『かなわない』『はたらかないで、たらふく食べたい』といった人文書、
『白エリと青エリ』といったマンガも手がけています。

   

   



   


主催の宮川真紀さんがタバブックスをはじめたきっかけは、
『”ひとり出版社”という働きかた』という本で紹介されています。
タバブックスの本は、すごく読みやすくて、柔らかな雰囲気を持っているんだけど、
伝えたいことがしっかりある、という本が多いと感じていました。
入り口は広いけど、芯があるというような印象は、
そのときそのときの状況にあわせて、
柔軟にいろんなことに挑戦していっている
宮川さんの人柄にリンクするなあと感じました。

    



宮川さんからは

太田さんから「愛と家事」が届いた。これは…よいです!

 

という感想をいただきました。

東京近郊、文京区にお住まいのみなさんは、
文化の日はお寺で本にどっぷりつかってみてはいかがでしょう。

○イベント詳細
しのばずくん本の縁日

日時:11月3日(木) 10:00~16:00
場所:養源寺(東京都文京区千駄木5-38-3)

○タバブックスについてはこちらから

http://tababooks.com/

 『愛と家事』はこちらからも購入可能です。

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集え、関西のZINEクリエイターたちよ!(ZINE DAY OSAKA@レトロ印刷 10/29・30)

ZINEを売りたい人、配りたい人、ZINEを読みたい人が集うZINE DAY OSAKAが去年に引き続き開催されます。

前回の記事でも紹介した坂本伊久子さんのブースで『愛と家事』を販売してもらいます。

 

yagakusha.hatenablog.com

 
主催者のお一人は販売でお世話になっているあしたの箱さん。 

yagakusha.hatenablog.com

 

このイベント、おすすめするのは知っている人が関わっているからではありません!
当日はZINEだけでなく、各クリエイターによるグッズも販売されるほか、
おいしそうでにぎやかな商店街や食べ物イラストで人気のイシヤマアズサさんの個展、
大阪の中津のZINEショップシカクの「ミニコミ寄席」、
編み物作家のミクラフレシアさんのワークショップなど、
関西でこれから注目!や個性あふれるクリエイターたちとじかにふれあえること、
それから、わたしの大好きな、しかし一部の関西のイベントでしか食べられないミッチーさんのカレー出店など、フードブースも充実しているから!

ということで、

関西近郊の人は是非行くことをおすすめします。

 

○イベント詳細
ZINE DAY OSAKA

日時:2016年10月29・30日(土・日)11:00~17:00

場所:レトロ印刷JAM ギャラリー・スペース(大阪市北区豊崎6-6-23

 『愛と家事』はこちらからも購入可能です。

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集え、全国のマンガ好きよ!(COMITIA118出展@有明・東京ビッグサイト東1・2・3ホール 10/23)

プロ・アマ問わないマンガ作家たちがオリジナル作品を発表・販売するコミティアが東京で開催されます。

イラストレータ坂本伊久子さんのブースで一緒に販売してもらうことになりました。
ブースはC36bです。

f:id:kokeshiwabuki:20161010055052j:plain


坂本さんは今年6月にシアトルとオレゴンに旅した際に出会った人たちのイラスト集を販売されるそう。

目印はこのイラスト

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ZINEは現地で出会った人びとの特徴を捉えた、伸びやかなイラストが素敵です!

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坂本さんから

お預かりしたエッセイを読んで、こう自身のことを的確に文章化できる方はスバラシイな、、とただ感心するばかりです。

 
という感想をいただきました。
坂本さんのZINEやグッズもたくさん販売されるそうなので、是非!


○イベント詳細
COMITIA
日時:10月23日(日)11:00~16:00

場所:有明東京ビッグサイト東1・2・3ホール(東京都江東区有明3-11-1)


○坂本さんについて
坂本さんは大阪を中心に活動されているイラストレーターです。
ポスターや本の装丁などでも活躍されています。
お仕事や作品はこちらから。

http://ikukosakamoto.com/archives/category/nikki

 『愛と家事』はこちらからも購入可能です。

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関わった人紹介 その3(あしたの箱さん:発送代行)

夜学舎で作る本については、なるべくその本の背景も伝えていきたいと思っています。
今回ご紹介するのは、発送代行をお願いしているあしたの箱さん。

大阪で同じ名前のギャラリーを運営されていて、何度かお邪魔したことがありました。
いつも作家さんのセレクトが素敵で、現代美術的ななかに手作りのおもむきがあるような作品が多いという印象でした。
障害者施設で作られたアート作品展もよく開催されており、
ことさらそれを強調するわけではなく、好きだから、素敵だから取り上げる
フラットな感じの展示が印象的でした。
また、2010年からASHITA no HAKO booksという名前で自主制作本を作って販売されていたり、
大阪でZINE DAY OSAKAというイベントを開催されています。

今回発送がネックだったので、発送のお手伝いをしてくれる方を探していたところ、
快く引き受けてくださいました。
ZINEの分野の先輩の助力を得て、とても心強いです!

あしたの箱さんからは

とても赤裸々・・ですがとても冷静に分析されていて、さすがにライターさんだな、とあらためて感じました。

 
という感想をいただきました。

10月はあしたの箱さんのイベントが盛りだくさんなので、そちらもお見逃しなく〜


○イベント詳細

プレイボーイwith ASHITA no HAKO BOOKS

ASHITA no HAKO booksさんでは先日7冊目の本、
「プレイボーイ~伝説の西岡~」(村井英晃著)ができあがったばかり。
大阪の肥後橋にあるcaloで展覧会も開催中だそうです。

プレイボーイwith ASHITA no HAKO BOOKS

日時:10月25日(火)~11月5日(土) 12:00~19:00(土曜は~18:00) 
場所:calo(大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル5階 )



それから、ZINE DAY OSAKAは今年も開催。
『愛と家事』の販売もあります!

ZINE DAY OSAKA

日時:2016年10月29・30日(土日)11:00~17:00

場所:レトロ印刷JAM ギャラリー・スペース(大阪府大阪市北区豊崎6-6-23)



あしたの箱さんについてはこちらから

http://www.ashitanohako.com/hako/

 

 『愛と家事』はこちらからも購入可能です。

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関わった人紹介 その2(しろうべえ書房さん:発行&印刷)

夜学舎で作る本については、なるべくその本の背景も伝えていきたいと思っています。
今回ご紹介するのは、発行&印刷をお願いしたしろうべえ書房さん。

しろうべえ書房さんはご自身もマンガ家のしろうべえさんによる京都の出版社です。
最初しろうべえさんをお見かけしたのは、何かの京都のイベントでした。
会場におかもちをもって登場し、
その中から自作の本をいくつも出してその場で販売し、
その場で何冊も売れているのを見て、
本にも行商という売り方があるのか、と印象に残っていました。
さらに驚いたのは、みずから印刷機や折り機を購入し、
制作、印刷、製本までの本作りの工程を一貫して行っているということでした。


出版業界というのはピラミッド構造のようなところがあります。
その中で上を目指す方向ばかりを考え、
その構造の下の方にいる自分をどこかで情けないと考えていた自分にとって、
同年代でそんなものとは関係なしに
表現したり物を作ったり売ったりしている人に出会って衝撃を受け、
いつかここで何か作りたいと思っていました。


しろうべえ書房の奥様から

太田明日香さんの赤裸々でありながら芯のあるしっかりした文章。
妻も、こういう女性でしっかりした文体で書かれた文章はすごく好き、と絶賛。

 

とありがたいお言葉をいただきました。


しろうべえ書房さんはその後も雑誌を作ったり、
ブックカフェを始められたりと、本に関するさまざまな活動を広げています。
しろうべえ書房さんのことも是非知ってもらいたいです。


しろうべえ書房さんについてはこちらから

http://shirohbeeshobo.wixsite.com/home1/toha

 『愛と家事』はこちらからも購入可能です。

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webshopはこちら→https://yagakusha.thebase.in/